
グローバル企業として説明責任を果たしCSR経営の精度向上に努めます
2010年度は、アシックスにとって大きな出来事が続いた年でした。
残念なことながら、まず特筆すべきは、年度末の3月に発生した東日本大震災です。亡くなられた方々、被災された方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、復興に向けてできる限りの支援をさせていただく所存です。
16年前の阪神・淡路大震災では、当社は国内外の皆様からご支援を賜りました。そのご恩に報いる気持ちも込め、自らの被災経験を生かした活動に取り組んでまいります。
当社事業を振り返りますと、8月にスウェーデンのアウトドア用品メーカー「ホグロフス」の買収があります。また、カナダの販売代理の経営権の取得、台湾・韓国・フィリピン・オランダ・スペインでの直営店の開店もいたしました。ますますグローバル化が進む市場に、全世界のアシックスグループの総力を挙げて対応するための一環の施策です。
また、私たちを取り巻く社会では、かねてから注目されておりましたSR(社会的責任)のガイドライン「ISO26000」が正式発行となりました。これも、CSR経営を掲げてきた当社にとって大きな意味を持ちます。
そんな中、アシックスグループは、企業運営の根幹となる哲学・理念などを整理して「アシックススピリット」※として再定義し、全グループ社員の心の礎とするとともに、そのスピリットを基にCSR経営の方向性を明文化した「アシックスCSR方針」※も策定しました。
アシックスグループの構成員は、世界22の国及び地域の5,604人に上ります。スピリットとCSR方針の策定は、文化も言語も異なる社員が一丸となって進むための取り組みです。
当社は、故・鬼塚喜八郎が青少年の育成のため「健全な身体に健全な精神があれかし」を創業哲学に築いたスポーツ用品メーカーです。
私たちにとって、スポーツとスポーツ用品に関する自社の技術・製品・サービスによって社会の開発課題の解決に貢献することは、何よりも大切な使命であると考えています。そして、それによって得た利益を更に事業活動に生かすことが、社会と私たち企業の持続的発展につながると信じております。
例えば、環境配慮型商品もその一つです。環境問題への取り組みは、国家レベルの国際的な枠組みの面では、南北問題が絡む問題も抱え、大きな進展は見られませんが、私たち人類社会そして生物多様性も含めた地球環境にとって喫緊の課題の一つには違いありません。
地球企業市民としての責任と現在及び未来の世代に対する責任を自覚した事業運営が私たちには求められます。
アシックスは、環境配慮型商品の独自基準を設け早くから開発と普及に努めてきましたが、今後もイノベーションによる画期的商品の開発を目指すとともに、地道に全商品中の環境配慮型商品の比率を高めるものづくりを行っていきます。
その生み出した商品を安心してお使いいただくための、品質と安全に関する真摯な取り組みもメーカーとして必須の務めです。社員教育と品質管理の強化を継続して進めます。
CSR経営にはパートナーシップの構築も欠くことのできない要素です。アシックスの商品は、企画・開発から製造・販売、更には廃棄や回収・再生まで、サプライチェーン上の様々な人や企業の手を経るライフサイクルをたどります。
また、事業活動全般があらゆるステークホルダーの皆様との関わりによって成り立っています。
特に、市場のグローバル化に伴い、生産体制も同様にグローバル化しており、業務委託先工場は21の国及び地域に広がっています。
アシックスグループは、それぞれの相手先そしてそこで働く人々とともに発展できる関係作りに努めており、ILO基準など労働・人権に関する国際的な基準や現地法を順守し、委託先企業や競合他社とも協業しながら、働く人の権利保護と法令順守に今後も取り組んでいきます。それは、「アシックスCSR方針」で原則として掲げる「人権尊重」、「倫理的な行動」にもつながるものです。
業界内での協業については、すでに品質・安全面で国内スポーツ用品メーカー4社との定期会議、労働・人権面では外資ブランドを含めたコラボレーション会議などに参画しているほか、TWARO(23ページ参照)などとの意見交換を進めておりますが、2010年度(2011年2月)に私自身が世界スポーツ用品工業連盟会長に就任したこともあり、更に多くの皆様との対話に努めたく思います。それによってスポーツ用品業界のCSRの推進の一助になればと願っております。
アシックスCSRレポートは、この2011年版で7号となりました。今回は、当社のCSR活動の優先課題をISO26000で言う「7つの中核主題」(8ページ参照)に基づいてまとめてみました。当社の哲学・理念と本質的に同じ趣旨のものではありますが、国際的な枠組みに基づいて自身の活動を振り返ることは、強み、弱みを認識し、次の活動につなげるのに大変有効であると認識しております。
今後もこういった国際的な指標、先進企業の例などを研究し、独自の評価指標を更に洗練させ、より分かりやすい報告ができるよう努めます。
それが説明責任を果たす透明性の高い企業の必要条件であることは言うまでもありませんが、私たち自身のCSR経営の精度向上と、ひいては社会の持続的発展への寄与につながると考えております。
「アシックススピリット」の下、グループ一丸となり、創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし」の実現に努めます。
皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。


※「アシックススピリット」と「アシックスCSR方針」については、5〜7ページに
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